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書誌

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】特許第3308183号(P3308183)
(24)【登録日】平成14年5月17日(2002.5.17)
(45)【発行日】平成14年7月29日(2002.7.29)
(54)【発明の名称】浄水装置及び浄化方法
(51)【国際特許分類第7版】

   C02F  1/28                 
B01D 61/08
C02F 1/00

1/32
1/44
1/78 ZAB

【FI】

   C02F  1/28        D        
B01D 61/08
C02F 1/00 L
S
1/32
1/44 H
1/78 ZAB

【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願平9−35662
(22)【出願日】平成9年2月4日(1997.2.4)
(65)【公開番号】特開平9−267089
(43)【公開日】平成9年10月14日(1997.10.14)
【審査請求日】平成12年10月6日(2000.10.6)
(31)【優先権主張番号】特願平8−53606
(32)【優先日】平成8年2月4日(1996.2.4)
(33)【優先権主張国】日本(JP)
(73)【特許権者】
【識別番号】596033772
【氏名又は名称】爲永 竜太
【住所又は居所】東京都
(72)【発明者】
【氏名】爲永 竜太
【住所又は居所】東京都
(74)【代理人】
【識別番号】100104396
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 信昭
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開 平6−79261(JP,A)
【文献】特開 平7−24446(JP,A)
【文献】特開 平7−185530(JP,A)
【文献】実開 昭61−187285(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.7,DB名)
C02F 1/28
C02F 1/00
C02F 1/44


請求の範囲

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】 地下水又は水道水に残存する沈殿物を濾過して第1の浄水を作るための第1のフィルタと、前記第1の浄水に残存する有機化合物を少なくとも濾過して第2の浄水を作るために、前記第1のフィルタの下流に設けた第2のフィルタと、前記第2の浄水に残存する混入物を逆浸透現象により濾過して第3の浄水を作るための第3のフィルタと、を含む浄水装置において、前記第1の浄水又は前記第2の浄水を、送水量調整弁を介して送水して前記第3の浄水と混合させることにより混合浄水を作るように構成したことを特徴とする浄水装置。

【請求項2】 前記第1の浄水又は前記第2の浄水を加圧する加圧手段を、前記第1のフィルタ2と前記第2のフィルタ5の間に又は前記第2のフィルタ5と前記第3のフィルタ6の間に設けたことを特徴とする請求項に記載した浄水装置。

【請求項3】 前記混合浄水をオゾン処理するためのオゾン供給装置又は紫外線処理するための紫外線照射装置を設けたことを特徴とする請求項又はに記載した浄水装置。

【請求項4】 前記混合浄水の水質を検知するための検知手段を設け、この検知結果に基づいて前記送水量調整弁の開き加減を調整するように構成したことを特徴とする請求項乃至の何れかに記載した浄水装置。

【請求項5】 次の工程からなる地下水又は水道水の浄化方法。(イ)地下水又は水道水に残存する沈殿物を、沈殿物フィルタで少なくもと濾過して第1の浄水を作る第一工程(ロ)前記第1の浄水に残存する有機化合物を、カーボンフィルタの活性炭吸着により少なくとも濾過して第2の浄水を作る第二工程(ハ)前記第2の浄水に残存する混入物を、逆浸透膜フィルタで逆浸透現象により少なくとも濾過して第3の浄水を作る第三工程(ニ)前記第1の浄水又は前記第2の浄水を、送水量調整弁を介して送水して前記第3の浄水を混合させることにより混合浄水を作る第四工程(ホ)前記混合浄水をオゾン処理又は紫外線処理する第五工程


詳細な説明
【発明の詳細な説明】

【0001】【発明の属する技術分野】
この発明は、井戸水や河川水等の地下水、水道法が定める水道水に残存する沈殿物、有機化合物及びバクテリア等を濾過する浄水装置に関するものであり、特に、ミネラル分(カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン等)の残存量を調整できるようにした浄水装置に関するものである。

【0002】【従来の技術】
これまでの浄水装置として、給水管から給水された地下水又は水道水から泥,サビ、水アカ等の沈殿物を沈殿物濾過フィルタにより濾過し、次に、塩素やクロラミン等の有機化合物やバクテリア等を活性炭吸収により濾過し、さらに、必要に応じてトリハロメタンやダイオキシン等を逆浸透膜フィルタのように極めて小さい孔を持つフィルタにより濾過するものが知られている。

【0003】
上述したこれまでの浄水装置は、混入物を除去するという目的を達成する上においては良好に作用するものであり、たとえば、一般家庭の飲料水用として、また、蒸気機関や原子炉等の工業用として使用する純度の高い水(純水)を我々に提供している。特に、前者の場合は、我々の健康を維持する上で重要な役割を担っている。一般家庭に供給される水道水は、市町村等の水道事業体によりその水源や浄水過程における水質が厳しく管理され、塩素消毒がなされたものであって、一般に「安全な水」であるといわれている。

【0004】
しかし、近年の種々な要因による環境破壊が地下水の水脈を変化させ、この結果水質に変化が生じたり、地下水に工場廃水や生活廃水が混入したりして、水源の安全性に疑問がもたれている。水道管を工事したときの油や砂などの異物が地下水又は水道水に混入して飲料用に適さなくなったり、長年の使用により水道管の内側に錆が着き、これが剥がれて地下水又は水道水を濁らせたりすることもある。さらに、マンションやビルの屋上タンク等の中に発生した藻類が地下水又は水道水を汚染させることもある。このような不純物(混入物)が我々の体内に入ることを防ぐために、前述したような浄水装置が必要となるのである。

【0005】
ちなみに、株式会社ジムジョン(東京都目黒区)が製造販売する浄水装置を使用して財団法人広島県環境保険協会が平成7年11月に行った水質検査により、次に述べるような結果を得た。水質検査の対象となった原水は、広島県比婆郡西城町で採取した地下水である。

【0006】
まず、原水が含む混入物のうち、マンガン、フッ素、カルシウム及びマグネシウムに着目すると、表1に示すような数値を示した。なお、表1に示す水質基準とは、水道法が定めるものを引用した。これによれば、カルシウムとマグネシウムの含有量は水質基準を満たしているが、マンガンやフッ素の含有量は水質基準を超えている。従って、この原水は飲料水に適していない。

【0007】
【表1】単位:mg/L
検査項目 原水 浄水 水質基準
マンガン 0.19 0.001 0.05
フッ素 1.0 0.05 0.8
カルシウム・マグネシウム 160 1.4 300

【0008】
一方、浄水装置を使って原水を濾過して得た浄水を見ると、同じく表1に示すようにカルシウムとマグネシウムはもとより、マンガンとフッ素も水質基準を満たすようになった。すなわち、そのままでは飲料用に適さなかった原水が、浄水装置の働きにより「安全な水」になったのである。

【0009】
このように、浄水装置を使用することにより「安全な水」を作ることができた。しかし、「安全な水」がすべて「おいしい水」というわけではない。人体に有害なマンガンやフッ素の含有量が少なくなることは大変好ましいことではあるが、「おいしい水」にはなくてはならないとされるカルシウムやマグネシウムなどの含有量まで少なくなってしまうと、「安全だがまずい水」になってしまう。

【0010】
たとえば、昭和60年度に厚生省が発表した「おいしい水の要件」によれば、おいしい水が含むカルシウムやマグネシウム等の量は、水1リットル当たり10〜100ミリグラムが適当であるとされている。これと同様な数値が、日本水道協会が発行した平成5年度版の水道維持管理指針にも記載されている。

【0011】
そこで、表1に戻り浄水が含むカルシウムとマグネシウムの量を見ると、浄水1リットル当たり1.4ミリグラムである。これでは、先に述べた「おいしい水の要件」からほど遠く、決して美味性を備えた水とはいえない。水がおいしいか、すなわち、美味性を備えているかどうかは多分に主観的なものであり個人個人によりその好みも異なるが、飲料水は安全性はもちろんのこと、美味性をも兼ね備えているべきものであるといえよう。

【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、これまでの浄水装置の利点を保ちながらこれに改良を加え、一定の水質基準(安全性)を満たしつつ美味性をも備えた浄水を提供するための浄水装置及び浄水方法を提供することにある。

【0013】
【課題を解決するための手段】
そのような浄水装置及び浄水方法を提供するために発明者は、試行錯誤を続けながらこれまでの浄水装置及び浄水方法の改良に努めた。その結果、フィルタで濾過して得たカルシウム等の少ない浄水に、それらの多い濾過前のものを所定の水質基準を満たす範囲内で加えるようにすれば、安全性及び美味性を備えた浄水を得られることに気がついた。本発明は、このような観点からなされたものである。次に、その具体的な構成について説明する。

【0014】
請求項に記載した発明に係る浄水装置は、地下水又は水道水に残存する沈殿物を濾過して第1の浄水を作るための第1のフィルタと、前記第1の浄水に残存する有機化合物を濾過して第2の浄水を作るために、前記第1のフィルタの下流に設けた第2のフィルタと、前記第2の浄水に残存する混入物を逆浸透現象により濾過して第3の浄水を作るための第3のフィルタと、を含み、これら以外の装置を必要に応じて備えている。この浄水装置の特徴は、前記第1の浄水又は前記第2の浄水を、送水管に取り付けた送水量調整弁を介して送水して前記第3の浄水と混合させることにより混合浄水を作るように構成したことにある。

【0015】
前述の通り構成することにより、沈殿物は取り除いたが比較的カルシウム等(ミネラル)を多量に含む第1の浄水又は、第1の浄水から有機化合物を取り除いた第2の浄水と、
この第3のフィルタにより作られた第3の浄水を混合させて安全性と美味性を兼ね備えた混合浄水を作るようになっている。第3のフィルタを設けることにより、混入物の性質や種類に合わせて段階的に水を濾過することができる。この結果、原水の水質に合わせて混合する浄水を選べる。すなわち、たとえば、沈殿物だけ取り除けば安全性に問題がないなら第1の浄水を第3の浄水に混合すればよいし、有機化合物の含有量が多すぎるときは第2の浄水を混合すればよい。さらに、フィルタの交換を効率よく行うことができる。つまり、沈殿物が比較的多い場合には第1のフィルタが一番汚れ、有機化合物が多い場合は第2のフィルタが一番汚れる。従って、前者の場合は第1のフィルタだけを、後者の場合は第2のフィルタだけを、それぞれ新しいものと交換し、他のフィルタは必要に応じて交換すればよい。

【0016】
なお、本明細書において「地下水」とは井戸水や河川水等の水道水以外のすべての水のことをいう。これと同様に「少なくとも」とあるのは、たとえば、第1のフィルタについていえば、この第1のフィルタが少なくとも沈殿物を濾過できる能力を持つものであればどのようなものでもよく、そのようなものであれば、沈殿物以外の混入物をも濾過できる能力を持つものであってもよい、という趣旨である。従って、「第1のフィルタ」としては、泥、錆、水垢等の沈殿物を少なくとも濾過できるものであればどのようなものでもよく、その材質や形状等になんらの制限はない。同様に「第2のフィルタ」としては、塩素やクロラミン等の有機化合物を少なくとも濾過できるものであればどのようなものでもよく、そのようなものとして、たとえば、活性炭吸着により濾過するカーボンフィルタなどがある。


【0017】
また、本明細書における「第3のフィルタ」は、特許請求の範囲の記載から明らかなように逆浸透現象により混入物を濾過するフィルタのことをいい、その代表的なものとして、逆浸透膜がある。ここで「逆浸透」とは、溶液と溶媒を浸透膜(半透膜)で隔てて、溶液側に溶液の浸透圧より高い圧力をかけると、通常の浸透とは逆に溶液中の溶媒分子が浸透膜を通って溶媒側に移動する現象をいう。要するに、濃い液体に圧力をかけると濃い液体は濃縮され、反対側に純粋な液体(水)が増える現象のことをいう。浸透膜の孔が、一般に0.0001ミクロン程度の大きさであるため、逆浸透膜で濾過すると有機分子やガス分子以外のあらゆる混入物を液体から分離することが可能となる。

【0018】
さらに、本明細書における「送水量調整弁」とは、その開き加減を連続的又は段階的に調整できるものであればどのようなものでもよい。送水する浄水の逆流を防ぐための逆止弁を備えているものが好ましい。


【0019】
請求項に記載した発明に係る浄水装置は、請求項に記載したものの特徴に加え、前記第1の浄水又は前記第2の浄水を加圧する加圧手段を、前記第1のフィルタ2と前記第2のフィルタ5の間に又前記は第2のフィルタ5と前記第3のフィルタ6の間に設けたことを特徴とする。

【0020】
このように加圧手段を設けることにより、第1の浄水又は第2の浄水すなわち逆浸透現象による濾過を行う前の浄水に適度の圧力を加えることができる。その結果、効率よく逆浸透現象を生じさせることができるので、それだけたくさんの第3の浄水(混合浄水)を同じ時間内に得ることができる。地下水又は水道水が十分な圧力を持っているなら、この加圧手段を省略してもよい。「加圧手段」としては、第2の浄水に圧力を加えられるものであればどのようなものでもよく、そのようなものとして、たとえば、電動の加圧ポンプがある。

【0021】
請求項に記載した発明に係る浄水装置は、請求項又はに記載したものの特徴に加え、前記混合浄水をオゾン処理するためのオゾン供給装置又は紫外線処理するための紫外線照射装置を設けたことを特徴とする。

【0022】
このように混合浄水をオゾン処理することにより、混合浄水に多量の酸素がとけ込むので、混合浄水の口当たりがマイルドになる。すなわち、美味性が高いおいしい水となる。これは、水中に放出されたオゾン(O3)は、その不安定な性質により、すぐに安定した酸素分子(O2)に分解されて水に溶け込むからである。さらに、オゾンが持つ高い殺菌力により混合浄水の安全性をさらに高めることができるとともに、これを貯めておくタンクや送水管及び廃水設備等も清潔に保つことができる。オゾン処理の方法は、オゾン供給装置が供給するオゾンを、混合浄水に注入することにより行う。一方、混合浄水を紫外線処理することにより、紫外線の持つ殺菌効果により美味性を損なうことなくより安全性の高い混合浄水を得られる。紫外線処理は、混合浄水に紫外線を直接間接に照射することにより行う。


【0023】
請求項に記載した発明にかかる浄水装置は、請求項乃至の何れかに記載したものの特徴に加え、 前記混合浄水の水質を検知するための検知手段を設け、この検知結果に基づいて前記送水量調整弁の開き加減を調整するように構成したことを特徴とする。

【0024】
このような特徴を持たせることにより、混合浄水の水質を常に一定の状態に保つことができる。すなわち、混入物を取り除いた第3の浄水に若干の混入物を含む第1の浄水又は第2の浄水を混入させるのであるから、後者の量が多すぎると水質基準を満たさない場合があり得る。逆に、少なすぎると美味性のある混合浄水を得られない。そこで、混合浄水の水質基準を予め定めておき、混合浄水の水質をチェックしながら送水量調整弁を開閉して混合浄水の水質を常に一定に保つようにした。開閉の方法は、マイコン制御により行ったり、検知結果に基づいて作業者が開閉するようにしたりするとよい。なお、本明細書における「検知手段」とは、混合浄水の水質を検知出来るものであればどのようなものでもよく、そのようなものとして、たとえば、液体の伝導率を計測する伝導率計がある。

【0025】
請求項7に記載した発明に係る地下水又は水道水の浄化方法は、地下水又は水道水に残存する沈殿物を、沈殿物フィルタで少なくもと濾過して第1の浄水を作る第一工程と、前記第1の浄水に残存する有機化合物を、カーボンフィルタの活性炭吸着により少なくとも濾過して第2の浄水を作る第二工程と、前記第2の浄水に残存する混入物を、逆浸透膜フィルタで逆浸透現象により少なくとも濾過して第3の浄水を作る第三工程と、前記第1の浄水又は前記第2の浄水を、送水量調整弁を介して送水して前記第3の浄水を混合させることにより混合浄水を作る第四工程と、前記混合浄水をオゾン処理又は紫外線処理する第五工程からなっている。

【0026】
この浄水方法を使用することにより、地下水又は水道水を安全性と美味性を兼ね備えた浄水にすることができる。なお、本請求項に記載した各文言の解釈は、これまでに述べたものと同じである。

【0027】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を、 図1ないし3を参照しながら説明する。図1ないし3を参照しながら説明する。 図1は本発明に係る浄水装置を、 図2はオゾン処理装置を図3は紫外線照射装置を、それぞれ示す概略図である。

【0028】
図1が示す符号1は、第1のフィルタ2へ地下水又は水道水(以下、これらを「水道水等」と略称する)を供給するための給水バルブである。第1のフィルタ2は、一般にセディメントフィルタ(sediment filter)ともよばれ、0.5ミクロン程度の孔により地下水又は水道水に混入している泥、錆、水垢等の沈殿物を主に濾過する。第1のフィルタは、地下水又は水道水の性質や使用量、さらに、フィルタの材質等により異なるが、濾過効率を高く維持するため約6か月に一度交換するとよい。

【0029】
第1のフィルタ2により濾過した地下水又は水道水等(これを「第1の浄水」という)は、沈殿物が取り除かれているので、濾過前のそれと比べて濁りがほぼなくなっている。第1の浄水は、止水弁3と加圧ポンプ(加圧手段)4を介して第2のフィルタ5へ送られる。


【0030】
止水弁3は、貯水タンク9(後述)の中の浄水が一杯になったときに、それ以上の浄水を下流へ送らないように送水ラインを遮断するためのものである。すなわち、貯水タンク9が一杯になると、これによる圧力を圧力感知スイッチ15により感知し、その感知信号を受けて止水弁3が作動するようになっている。これにより、貯水タンク9やその他の装置及び送水ラインが破裂したり破損したりするのを防いでいる。なお、本実施形態においては、第1のフィルタ2と第2のフィルタ5の間に止水弁3を設けているが、ここに限る必要はない。どこに設けるかは、浄水の持つ圧力や水量等を考慮した上で決定する。たとえば、加圧ポンプ4と第2のフィルタ5の間や第2のフィルタ5と第3のフィルタ6の間に設けてもよい。

【0031】
加圧ポンプ4は、送水ラインの下流に配した第2のフィルタ5(第3のフィルタ6)へ加圧した浄水を送るために第1の浄水を加圧するためのものである。すなわち、特に第3のフィルタ6は、先に説明した逆浸透現象を利用して混入物を濾過するためのものであるから、効率よい濾過のためには濾過前の浄水(第2の浄水)が適度の圧力を持っている必要がある。これが加圧ポンプ4の働きである。本実施形態における加圧ポンプ4は、第のフィルタと第のフィルタの間に設けてあるが、これは第2のフィルタ5をも効率よく作用させるためである。事情に応じて第2のフィルタ5と第3のフィルタ6の間等に設けてもよい。

【0032】
もっとも、給水バルブ1から給水される水道水等自体が一定の圧力(たとえば、2.8〜8kg程度)を持っていて、この圧力により各フィルタが効率よく作用する場合には、加圧ポンプ4を省略してもよい。また、取りあえず加圧ポンプ4を設けておいて、地下水又は水道水(浄水)が一定の圧力を持っている場合にはこれを稼働させず、一定の圧力以下しか持たなくなった場合にこれを稼働させるようにしてもよい。

【0033】
次に、第2のフィルタ5について説明する。本実施形態においては、この第2のフィルタ5としてカーボンフィルタを採用している。カーボンフィルタ4は、活性炭吸着により第1の浄水から塩素(カルキ)やクロラミン等の有機化合物を主に濾過する。第2のフィルタ5により濾過した浄水を、本明細書において「第2の浄水」と呼ぶ。なお、カーボンフィルタ5の交換は、セディメントフィルタと同様に6か月毎に行うとよい。

【0034】
次に、第3のフィルタ6について説明する。第3のフィルタ6には、逆浸透膜を用いている。これは、0.0001ミクロン程度の孔を持つものであって、先に説明した逆浸透現象を利用して第2の浄水を濾過する。すなわち、第2の浄水は、加圧ポンプ4により加圧された(又は、もともと圧力を持っている)状態にあるのでここで逆浸透現象が生じ、その結果、トリハロメタンやダイオキシンなどの汚染物質(混入物)をほとんど取り除くことができる。第3のフィルタ6により濾過した浄水を、本明細書において「第3の浄水」と呼ぶ。この第3の浄水を貯水タンク9の中に一時蓄えた後、出水ライン17へ送る。

【0035】
なお、第3のフィルタ6で濾過しきれなかった(溢れた)第2の浄水は、これをフローコントローラ(溢れ水制御装置)7が検知したときに廃水管を開放して廃水パイプ8から排出する。第3のフィルタ6により濾過された不純物は、この廃水とともに排出される。このようにすることにより、第3のフィルタ6の濾過効率を落とさずに長く使用できる。なお、逆浸透膜6の交換は、2年に一度程度行うとよい。

【0036】
次に、混合浄水の作り方を説明する。混合浄水は、上述した方法により作った第3の浄水を出水ライン17を介して混合室10に送り、そこに第1の浄水又は第2の浄水を混合させて作る。両浄水は、各々が混合室10の中に放出されるときの圧力により攪拌混合されるようになっている。第1の浄水は、 図1に示すように送水ライン11を経て混合室10へ導く。なお、符号12は、混合室10内の浄水が逆流しないようにするための逆止弁であり、符号13は、第1の浄水の混合量を調整するための水量調整弁である。混合量の調整は、出水ライン17に設けた伝導率計(検知手段)15により行う水質検知の結果に基づいて水量調整弁13を開けたり閉めたりすることにより行う。これについては、後で改めて説明する。

【0037】
次に、出水栓18の下流側にある殺菌室20へ混合浄水を送り、これを殺菌する。これは、混合した第1の浄水(第2の浄水)が細菌を含んでいたことにより混合浄水内にいる細菌を死滅させて混合浄水の安全性をより高めるためである。発明者の行った実験の結果、美味性を損なわずに殺菌するためには、混合浄水をオゾン処理するか、又は紫外線処理するとよいことが分かった。何れの処理方法によるかは、使用者の選択による。両処理を併用するようにしてもよい。

【0038】
オゾン処理は、図2に示すように、オゾン供給装置14で作ったオゾンを殺菌室20に注入することにより行う。オゾン供給装置14は、オゾン供給装置本体14aと供給ノズル14bからできている。オゾンを発生する方法には色々あるが、本実施形態においては、オゾン供給装置本体13aが無声放電方式によりオゾンを発生させ、これを供給ノズル14bを介して混合浄水の中に放出するようになっている。供給ノズル14bには、微細の孔がたくさんあいていて、これらを通過するオゾンが微細な気泡となるようになっている。このようにしたのは、オゾンが混合浄水に素早く溶け込めるようにするためである。

【0039】
紫外線処理は、混合浄水に紫外線を照射するための紫外線照射装置23を用いて行う。紫外線照射装置23は、図3すように、一端を閉鎖したUVパイプ(殺菌室)20と、このUVパイプ20の他端に固定する蓋体24と、この蓋体24に一端を固定した透明なガラス管26と、このガラス管26の中に封入したUV殺菌灯25とから概ねできている。紫外線の照射は、UVパイプ20の中を混合浄水が通過するようにしておき、その中でUV殺菌灯25を点灯させることにより行う。UVパイプ20の内面には、紫外線を反射してなるべくたくさんの紫外線を照射できるように、ミラー加工を施すとよい。

【0040】
ここで、先に述べた伝導率計15と水量調整弁12との関係について、説明する。本実施形態における水量調整弁12は、マイクロコンピュータの制御により開いたり閉じたりするようになっていて、この開閉加減により混合浄水が含む第1の浄水の量(比率)を調整するようになっている。その制御は、伝導率計15が検知する混合浄水が含むカルシウム等の含有量に応じて行うようになっていて、伝導率が低い場合はカルシウム等が多いということであるから水量調整弁12を開き、逆に高い場合は閉じるようになっている。

【0041】
なお、本実施形態においては、第3の浄水に第1の浄水を混合することにより混合浄水を作るようになっているが、地下水又は水道水の性質や混合浄水の味わい等を変えるために、第1の浄水の代わりに仮想線で示す送水ライン19を使って第2の浄水を使用してもよいし、両者を併用してもよい。何れにしろ、ほどんどの混入物が取り除かれた第3の浄水に第1の浄水(第2の浄水)を混合することにより、所望量のカルシウム等のミネラルを含んだ混合浄水を得ることができる。

【0042】
このことの理解を容易にするため、簡単な数値を用いて説明する。まず、第3の浄水1リットルに残るカルシウムを1グラム、第1の浄水1リットルを10グラムとそれぞれ仮定する。これらを混合すると、カルシウム11グラムを含む混合浄水が2リットルできる。すなわち、1リットル当たり5.5グラム(11グラムの半分)のカルシウムを含む混合浄水ができる。この例においては、両浄水の混合比を1:1としたが、各々の浄水が含むカルシウムの量や混合浄水の味わいに合わせてこの混合比を変化させるとよい。なお、このような場合に、混合浄水の水質基準を満たす(安全性の高い)ものでなくてはならないことは言うまでもない。

【0043】
【発明の効果】
本発明に係る浄水装置及び浄水方法を使用することにより、一定の水質基準(安全性)を満たしつつ美味性をも兼ね備えた浄水を提供することができる。従って、一般家庭においても、地下水又は水道水を安全でおいしい水に変えることができる。



分野


【発明の属する技術分野】
この発明は、井戸水や河川水等の地下水、水道法が定める水道水に残存する沈殿物、有機化合物及びバクテリア等を濾過する浄水装置に関するものであり、特に、ミネラル分(カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン等)の残存量を調整できるようにした浄水装置に関するものである。



技術

【従来の技術】
これまでの浄水装置として、給水管から給水された地下水又は水道水から泥,サビ、水アカ等の沈殿物を沈殿物濾過フィルタにより濾過し、次に、塩素やクロラミン等の有機化合物やバクテリア等を活性炭吸収により濾過し、さらに、必要に応じてトリハロメタンやダイオキシン等を逆浸透膜フィルタのように極めて小さい孔を持つフィルタにより濾過するものが知られている。

【0003】
上述したこれまでの浄水装置は、混入物を除去するという目的を達成する上においては良好に作用するものであり、たとえば、一般家庭の飲料水用として、また、蒸気機関や原子炉等の工業用として使用する純度の高い水(純水)を我々に提供している。特に、前者の場合は、我々の健康を維持する上で重要な役割を担っている。一般家庭に供給される水道水は、市町村等の水道事業体によりその水源や浄水過程における水質が厳しく管理され、塩素消毒がなされたものであって、一般に「安全な水」であるといわれている。

【0004】
しかし、近年の種々な要因による環境破壊が地下水の水脈を変化させ、この結果水質に変化が生じたり、地下水に工場廃水や生活廃水が混入したりして、水源の安全性に疑問がもたれている。水道管を工事したときの油や砂などの異物が地下水又は水道水に混入して飲料用に適さなくなったり、長年の使用により水道管の内側に錆が着き、これが剥がれて地下水又は水道水を濁らせたりすることもある。さらに、マンションやビルの屋上タンク等の中に発生した藻類が地下水又は水道水を汚染させることもある。このような不純物(混入物)が我々の体内に入ることを防ぐために、前述したような浄水装置が必要となるのである。

【0005】
ちなみに、株式会社ジムジョンフラワー(東京都目黒区)が製造販売する浄水装置を使用して財団法人広島県環境保険協会が平成7年11月に行った水質検査により、次に述べるような結果を得た。水質検査の対象となった原水は、広島県比婆郡西城町で採取した地下水である。

【0006】
まず、原水が含む混入物のうち、マンガン、フッ素、カルシウム及びマグネシウムに着目すると、表1に示すような数値を示した。なお、表1に示す水質基準とは、水道法が定めるものを引用した。これによれば、カルシウムとマグネシウムの含有量は水質基準を満たしているが、マンガンやフッ素の含有量は水質基準を超えている。従って、この原水は飲料水に適していない。

【0007】
【表1】単位:mg/L
検査項目 原水 浄水 水質基準
マンガン 0.19 0.001 0.05
フッ素 1.0 0.05 0.8
カルシウム・マグネシウム 160 1.4 300


【0008】
一方、浄水装置を使って原水を濾過して得た浄水を見ると、同じく表1に示すようにカルシウムとマグネシウムはもとより、マンガンとフッ素も水質基準を満たすようになった。すなわち、そのままでは飲料用に適さなかった原水が、浄水装置の働きにより「安全な水」になったのである。

【0009】
このように、浄水装置を使用することにより「安全な水」を作ることができた。しかし、「安全な水」がすべて「おいしい水」というわけではない。人体に有害なマンガンやフッ素の含有量が少なくなることは大変好ましいことではあるが、「おいしい水」にはなくてはならないとされるカルシウムやマグネシウムなどの含有量まで少なくなってしまうと、「安全だがまずい水」になってしまう。

【0010】
たとえば、昭和60年度に厚生省が発表した「おいしい水の要件」によれば、おいしい水が含むカルシウムやマグネシウム等の量は、水1リットル当たり10〜100ミリグラムが適当であるとされている。これと同様な数値が、日本水道協会が発行した平成5年度版の水道維持管理指針にも記載されている。

【0011】
そこで、表1に戻り浄水が含むカルシウムとマグネシウムの量を見ると、浄水1リットル当たり1.4ミリグラムである。これでは、先に述べた「おいしい水の要件」からほど遠く、決して美味性を備えた水とはいえない。水がおいしいか、すなわち、美味性を備えているかどうかは多分に主観的なものであり個人個人によりその好みも異なるが、飲料水は安全性はもちろんのこと、美味性をも兼ね備えているべきものであるといえよう。


効果

【発明の効果】
本発明に係る浄水装置及び浄水方法を使用することにより、一定の水質基準(安全性)を満たしつつ美味性をも兼ね備えた浄水を提供することができる。従って、一般家庭においても、地下水又は水道水を安全でおいしい水に変えることができる。


課題

【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、これまでの浄水装置の利点を保ちながらこれに改良を加え、一定の水質基準(安全性)を満たしつつ美味性をも備えた浄水を提供するための浄水装置及び浄水方法を提供することにある。


手段

【課題を解決するための手段】
そのような浄水装置及び浄水方法を提供するために発明者は、試行錯誤を続けながらこれまでの浄水装置及び浄水方法の改良に努めた。その結果、フィルタで濾過して得たカルシウム等の少ない浄水に、それらの多い濾過前のものを所定の水質基準を満たす範囲内で加えるようにすれば、安全性及び美味性を備えた浄水を得られることに気がついた。本発明は、このような観点からなされたものである。次に、その具体的な構成について説明する。

【0014】
請求項に記載した発明に係る浄水装置は、地下水又は水道水に残存する沈殿物を濾過して第1の浄水を作るための第1のフィルタと、前記第1の浄水に残存する有機化合物を濾過して第2の浄水を作るために、前記第1のフィルタの下流に設けた第2のフィルタと、前記第2の浄水に残存する混入物を逆浸透現象により濾過して第3の浄水を作るための第3のフィルタと、を含み、これら以外の装置を必要に応じて備えている。この浄水装置の特徴は、前記第1の浄水又は前記第2の浄水を、送水管に取り付けた送水量調整弁を介して送水して前記第3の浄水と混合させることにより混合浄水を作るように構成したことにある。

【0015】
前述の通り構成することにより、沈殿物は取り除いたが比較的カルシウム等(ミネラル)を多量に含む第1の浄水又は、第1の浄水から有機化合物を取り除いた第2の浄水と、この第3のフィルタにより作られた第3の浄水を混合させて安全性と美味性を兼ね備えた混合浄水を作るようになっている。第3のフィルタを設けることにより、混入物の性質や種類に合わせて段階的に水を濾過することができる。この結果、原水の水質に合わせて混合する浄水を選べる。すなわち、たとえば、沈殿物だけ取り除けば安全性に問題がないなら第1の浄水を第3の浄水に混合すればよいし、有機化合物の含有量が多すぎるときは第2の浄水を混合すればよい。さらに、フィルタの交換を効率よく行うことができる。つまり、沈殿物が比較的多い場合には第1のフィルタが一番汚れ、有機化合物が多い場合は第2のフィルタが一番汚れる。従って、前者の場合は第1のフィルタだけを、後者の場合は第2のフィルタだけを、それぞれ新しいものと交換し、他のフィルタは必要に応じて交換すればよい。

【0016】
なお、本明細書において「地下水」とは井戸水や河川水等の水道水以外のすべての水のことをいう。これと同様に「少なくとも」とあるのは、たとえば、第1のフィルタについていえば、この第1のフィルタが少なくとも沈殿物を濾過できる能力を持つものであればどのようなものでもよく、そのようなものであれば、沈殿物以外の混入物をも濾過できる能力を持つものであってもよい、という趣旨である。従って、「第1のフィルタ」としては、泥、錆、水垢等の沈殿物を少なくとも濾過できるものであればどのようなものでもよく、その材質や形状等になんらの制限はない。同様に「第2のフィルタ」としては、塩素やクロラミン等の有機化合物を少なくとも濾過できるものであればどのようなものでもよく、そのようなものとして、たとえば、活性炭吸着により濾過するカーボンフィルタなどがある。

【0017】
また、本明細書における「第3のフィルタ」は、特許請求の範囲の記載から明らかなように逆浸透現象により混入物を濾過するフィルタのことをいい、その代表的なものとして、逆浸透膜がある。ここで「逆浸透」とは、溶液と溶媒を浸透膜(半透膜)で隔てて、溶液側に溶液の浸透圧より高い圧力をかけると、通常の浸透とは逆に溶液中の溶媒分子が浸透膜を通って溶媒側に移動する現象をいう。要するに、濃い液体に圧力をかけると濃い液体は濃縮され、反対側に純粋な液体(水)が増える現象のことをいう。浸透膜の孔が、一般に0.0001ミクロン程度の大きさであるため、逆浸透膜で濾過すると有機分子やガス分子以外のあらゆる混入物を液体から分離することが可能となる。

【0018】
さらに、本明細書における「送水量調整弁」とは、その開き加減を連続的又は段階的に調整できるものであればどのようなものでもよい。送水する浄水の逆流
を防ぐための逆止弁を備えているものが好ましい。

【0019】
請求項に記載した発明に係る浄水装置は、請求項に記載したものの特徴に加え、前記第1の浄水又は前記第2の浄水を加圧する加圧手段を、前記第1のフィルタ2と前記第2のフィルタ5の間に又前記は第2のフィルタ5と前記第3のフィルタ6の間に設けたことを特徴とする。

【0020】
このように加圧手段を設けることにより、第1の浄水又は第2の浄水すなわち逆浸透現象による濾過を行う前の浄水に適度の圧力を加えることができる。その結果、効率よく逆浸透現象を生じさせることができるので、それだけたくさんの第3の浄水(混合浄水)を同じ時間内に得ることができる。地下水又は水道水が十分な圧力を持っているなら、この加圧手段を省略してもよい。


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