米国航空宇宙局(NASA)のスペースシャトルに採用された逆浸透膜システム。
安全で安心して飲める「純水」を造る逆浸透膜は、アメリカ政府が多額の資金と年月を費やし開発したハイテク浄化膜です。
この逆浸透膜を何層にも使用したフィルターは逆浸透膜モジュールと呼ばれ、NASAのスペースシャトルに装備されている事は大変有名です。
スペースシャトルの打ち上げの際、重量の関係で必要な水を充分に積むわけにはいかず、機内で循環再生して使用するより方法がない為、この逆浸透膜による浄水法が使われているのです。
1950年代、フロリダ大学やカリフォルニア大学で、水処理法としての人工半透膜の研究が始められ、次いでアメリカ政府が、デュポン、コダックなどの企業に、巨額の補助金を出して、逆浸透技術の研究開発にあたらせたのです。
60年代には海水を真水に変えたり、真水を超純粋にする等の技術が完成し、やがて家庭用の浄水器としても使われ始めました。
70年代に入ると、海上での飲料水確保の為に、イギリスの豪華船・クイーンエリザベスU世号に採用され、以後、漁船から客船・軍艦に至るまで、殆どの船舶に逆浸透の造水装置が積み込まれる事になりました。
それによって、水補給の為の寄港の必要がなくなり、船足を格段に速める事となりました。
1982年に起きた、イギリスとアルゼンチンのフォークランド島紛争では、海上での軍艦の戦いとなった為に、世界中から逆浸透メンブレンが姿を消したというエピソードも残されています。
1981年には、アメリカ航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル・コロンビア号に逆浸透装置が搭載され、宇宙飛行士の循環飲料水(尿を浄化して飲み水に使用)として用いられました。現在、逆浸透システムは最先端の浄水技術として各方面で活用されており、単に飲料水としてだけでなく、海水淡水化プラントをはじめ食品、医療、農畜産などその用途は多岐に渡っています。
ちなみに日本では、PKO(国連平和維持活動)カンボジア派兵の際、隊員の飲料水の確保の為、最新式の逆浸透浄水装置が現地に持ち込まれました。
おかげで安心して飲水を自給自足できる態勢が整えられたというニュースも記憶に新しいところです。
このように、いわばスーパー機能を持つ逆浸透システム″が、家庭用浄水器として数年前、日本に上陸したのです。
が、アメリカでは主流といわれるこの逆浸透システムによる浄水器そのものが、日本にはまだ殆ど知られていないのです。