現在使用されている逆浸透膜は、いわゆる「非対称膜」と呼ばれる膜の一種。
実際の分離は、膜の表面の、厚さ0.1〜0.15ミクロンのスキン層と呼ばれる非常に薄い膜によって行われます。
膜の本体を構成しているスポンジ層は、スキン層を支持し、強度を保つための役目を果たしているだけです。
逆浸透による物質の分離は、スキン層の非常に薄い膜によって発揮されます。
浸透速度も早く、スポンジ層に支えられているおかげで、数気圧程度の加圧にも十分耐えられます。
こうした強靭な非対称膜の実現によって、あらゆる不純物を完全分離してしまう直径0.0001ミクロンという精緻な細孔を持つスキン層が、実用可能となったのです。
つまり、何の憂いもなく、「安全でおいしい水」を得る事が出来る様になった訳です。
水の「安全性」に関していえば、逆浸透を超える浄水システムは、どこにもありません。
そこで、先に紹介したように、工業の面では海水から真水を取り出したりするほか、希薄水溶液から水だけを分離させ、糖類やアミノ酸を凝縮したりするのに実用化されています。
医療の分野で、透析用の水が逆浸透水であることは、案外知られているところです。
また常温で作業できるため、熱に弱い化合物を凝縮するのにも便利です。
逆浸透稼動のエネルギー源としては、ポンプを作動させるモーターの電力だけです。